[書籍]ダーク/桐野夏生

ダーク (上) ダーク (上)
価格:¥ 580(税込)
発売日:2006-04-14
ダーク (下) ダーク (下)
価格:¥ 600(税込)
発売日:2006-04-14

1時間ほどで読了。

[内容]
38歳村野ミロが、愛した男の自殺を自分に隠していた義理の父を殺そうとするところから始まる。
間接的に手を下した父の死を境に、かつての隣人でホモセクシュアルの友部、父の愛人で盲目マッサージ師の久恵、父の仕事仲間でヤクザの鄭に、金と復讐のためにミロは追われることになった。
父が久恵のために残した金を持って逃げたミロは、海外に渡ろうとして偽造パスポートをとある韓国人から買うが、自分の身を守るためにその韓国人であるジンホと愛人契約をする。
あくまで愛人の契約だったはずの関係は、ミロとジンホが互いを愛するようになって一変していく。

[感想]
よくも悪くも桐野夏生。
私はこの人の文体はかなり好きで、残酷さを淡々と書く不器用な感じがなかなか真似できないと思っている。
ただ、「OUT」のような割り切り方を期待して買ったのに、正直期待はずれ。
というより負の感情を期待していたのに、ベクトルが希望へ向かってしまっている。
村野ミロという主人公も設定があまり生きていない気がする。
38歳という年齢の割りに幼稚な人間で、狡猾さだけは尖るように書かれてしまっている。
ラストも子供とジンホのどちらを選ぶか?という簡単に想像できるような内容なので、読後感がいまいち。
久恵の性格も、どこがミロの父に愛されるような人間だったのかというのがまったく想像できない。
というかあんなおばさん普段からキチガイなんじゃないかとしか思えないんだけども。
鄭の気に掛けていた秘密も、最後に収束せず伏線を外しているように読める。
ジンホの若い頃の情けない体験も無駄なページを割いているような、中途半端な書き方が目立つ気がする。
全体的に流される人間たちを書くことはうまくいっているけども、すべての事項が生かされず、ハードボイルドにもミステリーにもなりきれない一作としか思えなかった。
恐らくそういう読み方をしてもいけないのだろうが。
40代を越えてしまった人間が、思い出せる限り近い記憶に青春という時代を残そうとして失敗しているような、そんな気まずさがあるので凹んだ。

久々におもしろい小説が読みたくて、オビ買いしたもので酷評。
素直に「OUT」を買ったほうが良かったかも。
OUTは高校の図書室で、1日で読みきるからという約束でハードカバー2冊を追い立てられて読んだ思い出しかないので、今回の反省を生かしつつそのうち買いたいです。
OUTはドラマの田中美佐子がものすごくきれいだったと思っているので、ドラマを今見ることができたら絶対原作と比べ見するだろうなぁ。
なんと原作とドラマの結末がかなり違うのです。

桐野の評価は「グロテスク」がかなり高いみたいだけど、正直女子高生なんかを書く小説には虫唾が走るのでそちらは恐らく買いません。

[参考]

OUT 上  講談社文庫 き 32-3 OUT 上 講談社文庫 き 32-3
価格:¥ 700(税込)
発売日:2002-06
OUT 下  講談社文庫 き 32-4 OUT 下 講談社文庫 き 32-4
価格:¥ 650(税込)
発売日:2002-06
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