[映画]何で今更ヱヴァQの話をするのと思うと思う

お世話になっております。連日運転がクソ下手な前の車を口汚く罵倒しながら進んでいます。

正月バカンスの話から遠く離れていて今更そんな話をするのもどうかとは思うのですが、正月に池袋で新世紀ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qをお陰様で拝見することができました。
正直全然見に行く予定がありませんでした。
映画館で映画を見ること自体は好きなんですけど、モノ食ってる余所の人とか走り回ってる余所のお子さんとかも大分苦手で、何よりトラウマがあるので映画館はあんまり好きじゃないんですよ。
トラウマっていうのはジュラシックパークをナイターで見に行ったことなんですけど。
ジュラシックパークなので、異様に視聴者を驚かす仕掛けとか恐竜が画面いっぱいに食いついてくるシーンあるじゃないですか。あれで体がビクッてなるんですよ。そんでビクッてなると映画館の椅子って全部つながってるから横列の人にめちゃくちゃ迷惑かかるじゃないですか。
まあわたしが迷惑かけたほうなんですけど。迷惑かけないように未だにあんまり映画館で見ないようにしていました。閑話休題。

まあ今更感があるヱヴァQでしたが、個人的にはホモホモしいカヲル×シンジのポストカードとかもらえてとてもよかったです。あ、巨神兵もとてもよかったです。
巨神兵がよかったところは唐突な上に意味不明なところだと思います。
このインタビュー見て思ったんですけど、ジブリとガイナックスの「世界の崩壊」の描写は凄く似ているという既視感があって、それがうまく発動されていた感じです。

昭和59年 宮崎駿とヱヴァンゲリヲン 庵野秀明のナウシカ愛
http://gekkan.bunshun.jp/articles/-/536

勿論巨神兵はあくまで宮崎作品の世界に存在するものであって、それを描く手伝いをした庵野監督の中に「宮崎駿の世界観」が刷り込まれているであろうことはよくわかります。
それを踏まえてわたしがより良いと思うところは、宮崎監督と庵野監督の世界の崩壊についての表現に違いがあるとすれば宮崎監督は「世界の終わりの終わり」で、庵野監督は「世界の終わりの始まり」を描くのが好きなんだろうなと感じられるところです。
どちらも世界が終了することを前提としています。世界の、というのは現行の人類の世界のという意味です。ナウシカの原作ではその世界の終わりのずっとずっと先でもまた世界が終わる日の分岐を描いているのだと思っています。ナウシカたちは既に終わった世界が息を引き取る瞬間にそこに立っている存在なのだと思います。
それに対して、「巨神兵東京に現わる」では突然の世界の終わりを描きます。ヱヴァでもそうなんですけど、世界の終わり「の始まり」を描きます。歪んで狂って崩れて世界がなくなってしまう、という瞬間です。
姉が弟だかなんだかよくわからない存在に警告を受けたにもかかわらず、恐らく巨神兵によって滅亡する東京という都市で最期を迎えた(であろう)ことも全然意味がなくて素敵だと思います。世界の終わりっていうものが本当にリアルです。予兆があって理解できない現象が起こったとしても、終わる世界の始まりでは何の意味もないという絶望感があってとてもいいです。
特撮の技術やシナリオの演出といった映画監督としての技巧ではなく、庵野監督の世界の終わりの認識を表すものとして「巨神兵東京に現わる」は優れた作品になっていたと思います。
「風の谷のナウシカ」において世界が一度巨神兵に滅ぼされたというシナリオが予め与えられていたから、という理由があったとしても、世界の終わりの始まりを記録する映画として本当に素晴らしいフィルムだと思います。
でも特撮で特に良かったのはビームです。ビーム超リアル。ビームすごい。ビーム一押し。ビームの閃光の後の爆発とかマジかっこいい。すみません特撮のビーム大好きなんです。

そいでヱヴァQ本編で最もよかったのはWunderです。
Wunder最高すぎて鼻息荒く魅力を語っていたら映画館出るとき同じ列でポップコーンばりばり食い荒らしてたヲタクが「お前マジかよ」みたいな顔をしたのでヲタクの風上にも置けないと思いました。
メカヲタならまずWunder見るべきです。あのようわからん造形を描き切ったメカデザは山下いくとさんだと思うんですがマジすごいです。素敵です。神です。
最も感動した瞬間はWunderが飛んだところです。あの瞬間のミサトさんは全作中で最も輝いていて男前だと思います。涙が出てしまいました。メカすごい。こんなに感動するなんてすごい。あんなもん飛ばすなんてすごい。
アスカが何であんなに荒れてるのかようわかりませんがWunder壊さないでほしい。

忘れるところでしたが作中何度か涙が出てきた瞬間があり、ランキングにすると
一位:Wunderが飛んだ!飛んだよ!
二位:青葉さんが生きていたことにより子安武人御大の素晴らしいセクシーボイスが響いた冒頭、出演しないかもな懸念が破壊されて一安心
三位:場末のキャバ嬢のようなシンジの前に現れシンジの心の支えとなったイケメンホストなカヲルくんが頭爆発して粉々になり放送事故要因化
といった感じでした。大人になったなあと思いました。
しかし三位はテレビ放送通るんでしょうか。

シナリオとか考察とかについては既に無数のブログで紹介され、考察され、解析されているのでよろしいと思います。
しかしマリちゃんの存在はただひたすらキレまくるアスカと汚い大人モードのミサトさんを中和してくれて大変和みました。歌とか歌うところがとてもいいですね。カヲルくんは全然歌わないですし。
今回カヲルくんがシンジくんと無駄に連弾とかしているのを見ながら、ピアノをやっていた人ならわかると思いますがあのシーンでは大変高度な作画技術が使われていて度胆抜かれました。
流れている音と画面上で人物が押している鍵盤が合っているんですよ。これが割と困難で異常なことであるというのは今までのアニメ史で何となく認識していたのですが、音先撮りでデジタル作画できるようになったので実現したんでしょうか。かの「のだめカンタービレ」でも実現してなかったと思うのですが。Wunderの描画や亜空間の表現もですがデジタル作画の恩恵を感じました。
何しろピアノ内部の打鍵によるハンマーの動きも同期していたので異常なほどの注力を感じて震えたくらいです。演奏者のフォームなどの人間工学的な描写についても非常に自然で、恐らく実際に連弾をするモデル奏者などがいたのかもしれませんが偏執狂的なまでのリアリティがあったので音楽関係は本当に手を抜いてないです。
これが鷺巣詩郎御大の発案とかで忠実に庵野監督が実行したんだとしたら、というか実行しているので変態だと思います。
でもね、本放送のシンジのチェロシーンが全然思い出せないの…。(当時チェロ弾きだったのに)
同期描画のめんどくささはチェロの方が上だと思いますので変態作画(褒め言葉)は是非やってほしいと思います。
音楽の美しさについては言うことないです。楽典上の美しさはこの際どうでもいいと思います。鷺巣さんの音楽のリアリティはたまに訪れる不自然な不協和音だったり、終わりそうで終わらない和音で途切れてしまう譜面にあると(昔から)感じています。カヲルとシンジのシンクロで大切なのは、オーケストラヒットでも描画できたはずのBGMを完全にピアノのみの連弾の世界に閉じ込めたことではないかと思っています。そこまでしても二人は一人になれなかった、というシナリオにおいては絶妙に配置された絶望の要因として、二人だけの閉じられた世界を表したものなのだと思います。

ヱヴァQは全体的に悲しみの話です。その代わりパンドラの箱のように、底には希望があります。しかしQの分岐が例えばTHE END OF EVANGELIONからの派生だったとしたなら、失われた14年間により多くの悲しみがあって本作にはより多くの希望が残ると思います。少なくともアスカが元気で生きていることやWilleを作ったとしてもミサトが無事なことから、かつての劇場版で途切れたと思われていたヱヴァの世界に希望を与えてくれたと感じます。
ヱヴァ破までの生き生きとした世界とはもしかしたらつながらないのかもしれませんが、そういう示唆を与えてくれたというだけでもQはとても価値ある一作になったと思いました。

さて、テレビシリーズのエヴァンゲリオン放送当時にシンジと同じく14歳だったわたしですが、こうしてミサトさんの年齢を超えながらもまた新しいエヴァンゲリオンに出会う楽しみが得られるということは本当に良いことです。
当時は14歳の自分が可能なことを通して能力の限界というものについて考えさせられたりしていましたが、あの日から十数年経った現在もあの日に続いていて、しかも大して出来ることが増えたわけでもないです。でも何とか生きている。ヱヴァを見て自分の存在に不安を抱くだけだった14歳のあの日が、確実に役に立っている。
でもそういうことを改めて、新しく感じられる機会があるということが、今の自分にとって良いことなのだと思いました。
そんな思いを抱えながら映画を見終えて、映画館のロビーでレイとアスカとマリのグッズを漁るおっさんとカヲル×シンジのポスターを握りしめる腐女子に旦那と二人でまみれながらWunderのプラモを探した。なかった。絶望した。

それにしても再現漫画が良くできていて死ぬほど面白いです。

【ネタバレ注意】エヴァンゲリオン新劇場版「Q」の内容を分かりやすく漫画化してみた
http://www.kajisoku.org/archives/51819478.html

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