[コミック]無限の終幕とチャイナ服の開幕に寄せて

今までもこのブログではネタにしているのですが、沙村広明さんの漫画が大好きでよく読んでいます。
高校生の時に「無限の住人」→大学生のころに「おひっこし」→それ以来「ブラッド・ハーレーの馬車」「シスタージェネレーター」「ハルシオン・ランチ」と読み進めてきましたが、大好きで仕方がなかった「無限の住人」がこのたび終了とのこと。
作中では恐らく3年程度の話なのですが、実際には連載終了まで19年かかったとのことで大変お疲れ様でした。

無限の住人(30) <完> (アフタヌーンKC)
沙村 広明
講談社 (2013-02-22)

高校生の時点で読み始めたときには既に結構な巻数が刊行済みで、しかも高校の生徒会執行部室(生徒会ではなく、部活です)に後輩のドイツ人ハーフが持ち込んで置いてた本なので、正直「外人が好みそうな変な時代劇だよな…」と思いながら読んでました。
八百比丘尼が出てきますが、自分が知っている八百比丘尼は高橋留美子さんの「人魚の森」だったので蟲とかありえねーうげーと思ってました。
しかし万次がこれほどまでに長生きするとは…。名前見て万年生きるんじゃねーかと思ったりしたりしていますけども。

同時に新連載が始まった「ベアゲルター」の一巻を買いました。
これは元々「おひっこし」の頃に沙村さんが書きたがっておられたチャイナキャットガール、的なものなんだと思いますけども、青年誌にすら向かない凄い設定ですね…。
あと題字が何となく「魔太郎が来る!」を思い出しました。

ベアゲルター(1) (シリウスKC)
沙村 広明
講談社 (2013-02-22)

先に無限の住人の総括から。
凛は万次の力を借りてここまで生き長らえてついてきたわけですけども、最終的に自分の手で幕を引くという行動を採ったことは予想外でした。
天津の「子を成す」という単語でスイッチが入ったことも。
現代にはなかなか考えられない「親の仇を討つ」というテーマでしたけども、ああそこに反応するんだなということがやっとわかりました。現代人の感覚からかけ離れすぎていてよくわからなかったテーマです。
正直、凛の旅路の意義など29巻まで忘れ去られていても不思議ではないと思ったんです。読者はそこを意識しないような話になっていたと思います。元々何だったかもよく忘れてしまうほどの期間を掛けて、親の仇だった天津という男を追ううちに凛が天津に引き込まれていくような気もしていたのです。
それを忘れずに凛が思いだし、自分の手を汚すことという描き方はすごいことだなと思います。

天津の終わりはあれでよかったんだと思います。彼は元々生き延びるべきではないのだと思いました。
何故そう思ったのかというと、槇絵が死んでしまったことが大きいと思います。槇絵と出会ったころのことがよく描かれていますが、彼はあの狼に襲われた晩に槇絵の姿に憑りつかれてしまったわけですから、槇絵のいない世界では生きられないのではないかと漠然と思います。
というかあの槇絵というルックスもお色気も実力もえらい強キャラが結核を乗り越えたにも関わらず殺すか?!みたいな驚きも大きいわけですけども。沙村さんってひいきの女の子をえらい目に合わせた上に殺すの好きですよね(笑顔)

そして万次と凛の子孫であろう布由の出会いについて。
万次が凛という名と顔を思い出したのかどうかは分かりませんが、瞳阿が凛に送り恐らく凛がずっと持っていたウヌカラ・カンナスイが、再度同じ縁を呼び込む演出はとても好きです。
布由については凛が万次以外の男を婿に取り、道場の再興を遂げて次世代に縁を託したという話なのでしょうが、わたしは布由が万次と凛の子孫でもいいと思います。
凛が死ぬまで一度も万次と会わなかったという記述はないので、万次と別れる選択をした凛がその後一度でも万次に会って子を成したというストーリーでもものすごくロマンスがあると思います。
というか誰か薄い本を出してそうな内容だと思うんですがどこかに凛×万次の本はないのか!ないのか!
表紙の内側に凛と万次が書いてありますが、表表紙のカバー内は同じ構図で布由と万次が書いてあります。しかし成長した布由がかわいすぎて万次に嫉妬…!

ちなみにむげにんで一番好きなシーンは凛が万次に接吻したと思われるセリフのみのコマです(細かい)。
一番好きな男キャラは凶載斗様でした。どう見ても某カカシ先生とかぶっています。おでこが多少広くてもかまいません。
一番好きな女キャラは瞳阿でした。あの子子どもとか産んでそだてられるんだろうか。ちょっと見てみたかった。

対して、ベアゲルター。
叛逆ずべ公アクションだとか書いてありますが正直23禁とかでもいいんじゃないでしょうか、変態と人殺しばっかり出てますし。
コンセプトは多分チャイナ書きたいだけだと思うのであまり気にしていませんが、トレーネの不遇さと万能具合が若干飛ばしすぎていないか心配です。
あと和み要素としてソリちゃんがすごくかわいいです。エログロはともかくもっとこういう天然キリングマシーンみたいなの書いてほしいです。

どうも実家住みにとっては書籍では買いにくい本になりそうですが、とりあえず表紙にエロ要素がなければうれしいです。