BonniePinkのこと

異種の投稿。
興味ない人はすっ飛ばした方が時間を有効に使えるかもしれない。

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今年デビューしてから10年目のBonniePinkというアーティストさんがいます。
「嫌われ松子の一生」に出演したことで今年は注目度が上がり、その後資生堂CM「ANESSA」にて発表した曲が彼女の人生で恐らく一番というほど売れに売れ。
発売中のベストアルバム「Every Single Day」は60万枚を越える売り上げだそうな。
私も買いました。

私がこの人のCDを聞き始めたのは99年くらいからです。
当時の新曲「金魚」あたりからプロモがきっかけで聴き始め、ベストアルバム「Bonnie’s Kitchen #1#2」でかなり好きなアーティストになったのを覚えています。

で、当時のCDが懐かしくなりひっぱりだして聞いていたんですが。
うまくいえないんですが、彼女の今までの音楽と、今年大衆に消費されている音楽は根本的に異質だなぁと感じています。

私の個人的な持論に「コアなアーティストがオリコンに載ったら注意しろ」っていうのがあります。
要するに、大衆が「消費したい」と思うような音楽が本当に音楽として質が良いかどうか、ということについて疑問があるわけなんです。
勿論、プロモーションの努力により認められるようなアーティストもいると思います。
DefTech、アジカンあたりなんかは、音楽性そのものは変えずに知名度があがった代表的なアーティストじゃないかなぁと思うのです。

で、今年10年間で一番売れたBonniePinkの音楽について。
個人的に、あくまで私の超個人的に、今までの音楽性との齟齬を感じているわけです。
今までの音楽についても勿論音楽性の変化を感じることは多かったのですが、それでも「消費」という名の安易な音楽性はなかったと思っていたのですが(曲それぞれに違和感を覚えることはあっても)。
私はオリコンなんかで一時的に大量消費されて、その後思い出されるときに「~枚売り上げですね」っていう言葉で片付けられるような音楽に悲哀を感じているんで、今年のBonniePinkの曲には危機感を覚えています。

私はそれほど古い頃からのファンではないんですが、
①古くからのファンの人がEverySingleDayを聞いたとき
②BonniePinkのCDで初めて買ったものがEverySingleDayな人が聞いたとき
のパターンでどちらも違和感を感じたとしたら、やはりよくない気がするのです。
例えば
①のパターンで「EverySingleDay」のDisk2を初めから聞いていって、「Love is Bubble」とか「A Perfect Sky」で違和感を感じるとか。
②のパターンで「EverySingleDay」のDisk2を初めから聞いていって、「Love is Bubble」とか「A Perfect Sky」の手前で既に違和感を感じるとか。

この違和感の正体は、「大衆に消費されることを前提としない音楽」から「大量消費されるかもしれない音楽性」への転換期が一切ないことに起因すると思うのです。
前者を好んで買っていた人は、これからのBonniePinkの音楽について不安を抱えるでしょうし、後者を好んで買ってみた人は、今までのBonniePinkの音楽について不満を覚えるもしれない。

何よりもBonniePink本人が、まったく自覚も意識もせずに「消費されるための音楽を書かなければ」=「売れるような音楽を書かなければ」と書いてしまった結果、それが売れてしまったとしたら、やはりこれからどんな音楽を書いてしまうのかということが心配でたまらないんですよね。
私は彼女の音楽を聴くときはそのままでよかったのに。

ということで、ベストアルバムと銘打つからにはやはりそこらへんの音楽を選別するわけにはいかなかったんでしょうけども、今年の音楽は今年のものとして独立させてほしかった。
この音楽性が今年だけにとどまるならばBonniePinkを買い続けることはできると思うのですが、今後続くようであれば「その音楽は私が本当に聞きたい音楽か?」ということを考えずに買うことはできなくなると思うのです。

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CD買うのにちょっとおおげさじゃない?って言われる私の音楽観なんですけども。
現在主流になりつつある「1曲ずつダウンロード販売」は美学に反するのですよ。
CDという一枚のそれが、そのときのアーティストのひとつの作品だと感じるタイプなので。
ジャケ買い、タイアップ買いもしますけども、シングルカットの曲のためにアルバムを買うのはなんとなくいやなので、やっぱり特殊なのかも。

ちなみに今年のBonnieのCDに関しては、表題作はともかくカップリングは今までの音楽性が維持されているのでますます違和感があります。
「流行してる」っていうだけの理由でCDを買ってしまうことについて非常に嫌悪感があるので、BonniePinkには悪いんですがやっぱり今までのコア路線の方がうれしいなぁ。

結論としては「今年のBonnieさんどうしちゃったんだ」という感じ。
いや決してよくない曲というわけじゃないんですが。
この曲を書く必然がBonniePinkに与えられる必要はなかったという感じがします。
ややこしいけど、「Bonnieじゃなくて他の人がこの曲を書いてもよかったんじゃないの神様」って感じなのでした。
消費されてしまう音楽は、消費される音楽性を持つ人が書くべきと思う。
うーん、不完全燃焼。

例えば、「A Perfect Sky」が売れなかったとしても、音楽性に違和感や危機感を覚えたという類の話。
実際に消費されたかどうかではなくて、アーティストが何を狙ったかということについて齟齬を感じているんだと思うんだけど。
自分の音楽観がそもそも正常かどうかということは恐らく誰にもわからないため、やっぱりうだうだと悩んでいるのはしょうがないのかもしれません。

なんか変な話になっちゃった。